【Claude実践】AIの「確認しました」を鵜呑みにしない ― 「何を、どう測ったか」まで聞く
AIに調べ物や点検を任せたとき、返ってくる言葉はたいてい同じです。「確認しました。該当は8件でした」。数字まで添えて言い切られると、つい信じてしまいます。
ですが、その報告で本当に確認すべきなのは「いくつだったか」ではありません。「何を、どう測ったのか」のほうです。ここを聞かないまま次の作業に進むと、間違った前提の上に一日分の仕事が積み上がります。
「8件」が、測り直したら30件だった
実際にあった話です。自社で運営しているブログで、記事の中身がある基準を満たしているかを全件点検する必要がありました。記事数は129本。手作業では丸一日かかるので、AIに任せました。
返ってきた答えは「該当するのは8本です」。数としては少なく、対処もすぐ終わりそうに見えました。
ここで一言だけ聞き返しました。「その8本は、記事のどの部分を、何文字として数えた結果ですか?」
答えは、記事末尾の「まとめ」部分の文字数だけを見ていた、というものでした。本来数えるべきなのは、引用部分を除いた記事全体の独自の文章です。測る場所そのものが違っていたわけです。
そこで測り方を指定し直し、129本すべてを数え直させました。結果は30本。最初の報告の約4倍でした。もし「8本」を信じて作業していたら、22本を見落としたまま完了報告を出していたことになります。
なぜズレるのか ― AIは「測り方」を自分で決めてしまう
原因はAIの能力ではなく、こちらが測り方を指定していなかったことにあります。
「文字数が足りているか見て」とだけ頼むと、AIは「どこを数えれば文字数と呼べるか」を自分で解釈します。そして厄介なことに、その解釈の中身は報告に書かれません。表に出てくるのは結論の数字だけです。人間の担当者なら「まとめの部分だけ見ましたけどいいですか?」と一言添えることが多いのですが、AIは判断の前提を省略したまま結論を出します。
これは会計データの集計でも、在庫の点検でも、名簿の突合でも同じです。「どの範囲を、どの単位で、何を除いて数えたか」が決まっていない依頼は、必ずどこかでズレます。
報告を受け取ったら聞く3つの質問
- 対象は全部見たか?「129本すべてか、一部を見て推定したか」。件数を答えさせると、抜き取りだったことがここで判明します。
- どこを、どう測ったか?「記事のどの部分を」「何を除いて」数えたのか。今回のズレはここで見つかりました。
- 確認できていない範囲はどこか?「見た範囲」と「見ていない範囲」を必ず分けて書かせます。これを書かせるだけで、断定できないことを断定する報告が減ります。
そして根本の対策は、毎回聞くことではなく依頼の時点で測り方を先に決めてしまうことです。「文字数を見て」ではなく「引用ブロックを除いた本文の文字数を、記事ごとに数えて一覧で出して」と書く。これだけで測り直しの往復がなくなります。
この「測り方を先に決める」「見た範囲と未確認の範囲を分けて書かせる」という約束事は、一度決めたら毎回書くのではなく、AIに持たせる自分用のルールとして固定してしまうのがおすすめです。やり方はAIに「自分用の業務マニュアル」を持たせて“秘書化”する方法で紹介しています。報告が実態とズレる現象そのものについてはAIが「暴走」する4つのパターンと、それぞれの止め方もあわせてどうぞ。
コピペ用プロンプト
点検・集計をAIに頼むときに、依頼文の末尾へ貼るだけで使えます。
【報告のルール】
1. 結論の数字を出す前に、次の3点を必ず先に書くこと。
・対象範囲(全件か、一部か。一部なら何件をどう選んだか)
・測定方法(どの項目を、何を除いて、どの単位で数えたか)
・確認できていない範囲(見ていない箇所を正直に書く)
2. 上の3点が私の指示から一意に決まらない場合は、
勝手に解釈して進めず、先に確認すること。
3. 「確認しました」「問題ありません」と書いてよいのは、
自分で実際に中身を見て根拠を示せるときだけ。
見ていないものを「無い」と書かないこと。
4. 数字は実測値のみ。取得できなければ「取得失敗」と書くこと。
推測で埋めない。
まとめ
AIの報告で危ないのは、間違った数字そのものより、その数字がどう作られたか誰も知らないまま次に進むことです。今回は「8本」と「30本」の差でしたが、これが売上集計や在庫数だったらと考えると、聞き返す一手間は十分に割に合います。
「何を、どう測ったか」。この一言を口ぐせにするだけで、AIに任せられる仕事の範囲は確実に広がります。AIに任せた仕事の記録そのものを失わないための備えはClaudeを終了せずに会話履歴を毎日まるごとバックアップする方法にまとめています。
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